日本の民家は高温多湿の夏を工夫と知恵で乗り切っていました。
カッコよく言えば自然エネルギーを利用したパッシブ建築です
では、昨日のテーマの続きです。
夏場、土蔵の中に入ってひんやりとした経験を持った方も多いと思います。

これは、土蔵を構成している土の熱容量(蓄熱効果)に起因します。
熱容量が大きければ大きいほど、暖まりにくく、冷めにくいという特性を持っています。
つまり、暖まりにくいとは熱を沢山吸収でき溜め込むことが出来るため、なかなか暖かく感じないことであり、冷めにくいとは貯まっている熱が多いため、出ていくのに時間が掛かるということです。
熱容量(蓄熱効果)が大きい建築材料として挙げられるのは水を筆頭に、コンクリート(モルタル)・土の順です。水を蓄熱材として利用する建材はありますが、一般的にはコンクリート、土壁として利用することが多いです。断熱材の普及品であるグラスウールは土の約80分の1でしかありません。(容積比熱での比較)
例えば、木造住宅(延床面積150㎡)で蓄熱効果が期待できる要件として、塗り壁厚み7cmの土塗り壁を外壁及び間仕切り壁に用いれば(土塗り壁面積210㎡として)可能となります。
もう一つ、コンクリート造りの建物は外壁の外側を断熱することで熱容量の大きいコンクリートの特性を生かすことができるのですが、相変わらず、外壁の内側を断熱する手法が多いのは残念ですね。
ここで、なぜ日本の住まいは土蔵造りにならなかったのか?という疑問がわいてきました。
いくら土蔵が熱容量が大きく、室温が安定してるとはいえ、ほとんど窓がない造りでは風も通らず、暗く、夏の生活に不向きで、住まいとしての魅力を感じられなかったのだと考えます。
「夏を旨とする」昔の考え方からすると、熱容量うんぬん(いや、わからなかったのかも)より、開放的で、風が通る住まいを選んだ(好んだ)のかと思うのです。
だから、こういうのを 「お蔵入り」 と言う のかな…?
またこの辺で
千年杉建築事務所 小林正幸