日本の民家は高温多湿の夏を工夫と知恵で乗り切っていました。
カッコよく言えば自然エネルギーを利用したパッシブ建築です。
今日は、誰でも言葉は知っているが、現代の住宅から捨て去られた「縁側」についてのお話。
縁側はスペースを食う上に和室が減ってきたことで真っ先に住宅計画から捨てられてしまいます。
一部屋の和室に付属させた広縁という縁側がポツンとあるだけの家は、まだ ましな方かもしれません。
暑い夏には広い間口から風を通し、縁側がせり出す分 強い日差しも和らげることができるし、夕方には縁側に腰掛けて花火や囲碁 将棋、また、ビール片手に夕涼みでくつろぐことができます。
寒い冬には、太陽の位置が低く柔らかい日差しとなり、天気のいい日には猫と日向ぼっこするもよいでしょう。
親しい客は、玄関など使わずに直接縁側に顔を出すもので、茶飲み話に花が咲くし、庭いじりの休憩場所にも使われます。
春秋の過ごしやすい季節は、ここち良い陽気の下で穏やかな時間をすごしたり、秋には月見をしたり縁側は笑顔の集まる空間になります。
これは、独立行政法人 建築研究所が茨城県つくば市に建設した、ＬＣＣＭ 住宅（ライフサイクルカーボンマイナス住宅）の現代版縁側です
ＬＣＣＭ 住宅とは、住宅の長い寿命の中で、建設時、運用時、廃棄時において、できるだけの省 CO2 に取り組み、かつさらに太陽光発電などを利用した再生可能エネルギーの創出により、住宅建設時の CO2 排出量も含め生涯（ライフサイクル）での CO2 の収支をマイナス（カーボンマイナス）にする住宅です。
縁側にあたる土間タイルは、畜熱効果で室温を安定させることができます。
つづく
千年杉建築事務所 小林正幸
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